マナーのこと

犬が吠えるのはなぜ?叱る前に考えたい理由と対応

2026.08.30 | 犬育て.jp 編集部

「インターホンが鳴ると吠える」
「散歩中にほかの犬へ吠える」
「注意しても静かにならない」
「吠えているときにトリーツをあげてもいい?」
「要求吠えは無視したほうがいい?」

DogRelaxingの現場でも、犬の「吠え」に関する相談はよく聞きます。

吠え声は人にとって困った行動に見えますが、犬にとっては大切なコミュニケーションのひとつです。

だからこそ、ただ止めようとする前に「なぜ吠えているのか」を考えることが大切です。

この記事では、吠える理由の見つけ方と、暮らしの中でできる対応を分けて解説します。

まず知っておきたいこと:吠えるのは犬のコミュニケーション

犬は言葉の代わりに、声や表情、姿勢、動きで気持ちを伝えます。

吠える行動にも、

  • 「近づかないで」
  • 「気づいて」
  • 「怖い」
  • 「うれしい」
  • 「退屈だよ」

など、さまざまな意味があります。

吠えること自体を悪いものと決めつけるのではなく、その背景にある気持ちや必要を読み取ることが、対応の出発点です。

前半:なぜ吠えるのか、原因を考える

犬が吠える主な理由

警戒

人、犬、物音などに気づき、「近づかないでほしい」「距離を取りたい」と感じて吠えます。

要求

遊んでほしい、食べ物がほしい、扉を開けてほしいなど、人に何かをしてもらうために吠えます。

不安・恐怖

ひとりになることや、慣れない人・犬・音などを怖いと感じて吠えることがあります。

興奮

来客、散歩、ほかの犬などを見て気持ちが高まり、吠えにつながります。

退屈

運動、探索、遊び、休息などが足りず、刺激を求めて吠えることがあります。

痛み・体調の変化

身体の痛みや不快感によって落ち着けず、吠えることもあります。

「いつ・どこで・何に」吠えるかを記録する

原因を考えるときは、吠えた場面を具体的に記録してみましょう。

  • いつ吠えたか
  • どこで吠えたか
  • 何を見たり聞いたりしたか
  • 吠える直前に何があったか
  • 吠えたあとに人や周囲がどう動いたか
吠える前後の状況を観察する飼い主

たとえば、インターホンに吠えたあと家族が玄関へ向かう、要求して吠えたあと遊びが始まる、ということが繰り返されれば、犬は「吠えると状況が動く」と学習することがあります。

吠え声だけでなく、その前後を観察すると、対応の手がかりが見つかります。

後半:吠えたとき、どう対処するか

安全とマナーのために、まず行動を止める場面もある

吠えた犬を注意してはいけない、というわけではありません。

道路への飛び出し、相手への接近、集合住宅や公共の場で周囲に迷惑がかかる状況など、安全やマナーのために、すぐ行動を止める必要がある場面もあります。

名前を呼ぶ、落ち着いた声で合図する、その場から離れる、視界を遮るなど、まず安全を確保してください。

ただし、その瞬間に止まったことと、吠える原因が解決したことは別です。落ち着いたあとに、環境や学習の組み立てを見直します。

散歩中にほかの犬から距離を取る様子

大声で叱るだけでは改善しにくい理由

犬が警戒や不安から吠えているときに大声で叱ると、犬には「飼い主も一緒に騒いでいる」ように感じられたり、対象への不安がさらに強くなったりすることがあります。

リードを強く引くなど、首に刺激を入れて行動を止める方法も、その場では吠えが止まったように見えることがあります。

しかし、犬が刺激の原因を理解できなければ、恐怖や緊張を強める可能性があります。

止めることだけでなく、吠えずに済む状況と行動を一緒に育てることが大切です。

「要求吠えは無視」で、さらに吠えることもある

要求吠えでは、無視が役立つ場合もあります。

ただし、これまで吠えることで要求が通っていた犬は、急に反応がなくなると、いったん声を大きくしたり、長く吠えたりすることがあります。

また、不安や恐怖、痛みから吠えている場合は、単純に無視するだけでは原因が解決しません。

「要求だから無視」と決める前に、犬が何を伝えようとしているのかを見極めましょう。

吠えている時にトリーツをあげてもいい?

答えは、原因・タイミング・目的によって変わります。

要求吠えの直後に毎回トリーツを渡せば、「吠えるとトリーツが出る」と学習する可能性があります。

一方、怖い対象を見たときに十分な距離を取り、まだ落ち着いて食べられる段階でトリーツを使うことは、対象への感情を変えたり、飼い主へ意識を戻す練習に役立つことがあります。

落ち着いている犬にトリーツを与える様子

トリーツそのものが良い・悪いのではありません。

大切なのは、

  • どの行動の直後に渡すか
  • 何を学んでほしいか
  • 犬がどの程度落ち着いているか

という点です。

刺激との距離や生活環境を整える

吠えを減らすには、練習だけでなく環境調整も欠かせません。

  • 窓の外へ吠えるなら、目隠しや居場所の変更を試す
  • 散歩で犬に吠えるなら、道を変える、距離を取る
  • 来客が苦手なら、別室やゲートの内側に安全な場所をつくる
  • 退屈が関係するなら、散歩、探索、遊び、休息のバランスを見直す
犬が落ち着けるよう窓の環境を整える様子

練習できないほど興奮してから頑張るより、落ち着いて学べる状況を先につくります。

「吠えないで」ではなく、代わりにできる行動を育てる

ここが、吠えへの対応で最も大切なポイントです。

犬に「吠えないで」と伝えるだけでは、その場で何をすればよいのかは分かりません。

吠える代わりにできる行動を、分かりやすく教えていきます。

吠える代わりにマットで休む犬

たとえば、次のような行動です。

  • 飼い主を見る
  • 呼ばれたら近くへ戻る
  • 刺激から離れる
  • マットで休む
  • 床にまいたトリーツを探す
  • 四つ足を床につけて待つ
  • 安心できる場所へ移動する

吠えをなくすことより、吠えなくても対処できる力を育てる。

静かになったほんの一瞬や、犬が自分から別の行動を選べた瞬間を見つけて、しっかり評価しましょう。

小さな成功を積み重ねることで、犬は新しい対処方法を学んでいきます。

困ったときは、まず身近なトレーナーへ

吠える理由は犬ごとに異なり、同じ犬でも場面によって変わります。

暮らしの中で困っている場合は、まず近くのドッグトレーナーに実際の様子を見てもらうと、原因と練習方法を整理しやすくなります。

どんな人へ相談すればよいか迷ったら、愛犬に合うドッグトレーナーの選び方も参考にしてください。

ただし、急に吠え方が変わった、触られることを嫌がる、食欲・睡眠・動き方などにも変化がある場合は、身体の痛みや病気が隠れている可能性があります。

その場合は、動物病院へ相談してください。

まとめ

犬が吠えるとき、まず考えたいのは「どう止めるか」だけではなく、「なぜ吠えているのか」です。

  • 吠える前後を観察する
  • 安全とマナーのために必要な対応をする
  • 原因に合わない叱り方や無視を続けない
  • 環境と刺激との距離を整える
  • 吠える代わりの行動を育てる

犬が安心して選べる行動を増やすことは、人と犬の暮らしやすさにつながります。

愛犬の吠えについて、一緒に考えてみませんか?

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