安心して過ごす

「オスワリ」より先に育てたいもの

2026.08.08 | 犬育て.jp 編集部

パピー期に大切な安心感・好奇心・立ち直る力【第3部】

子犬を迎えると、「オスワリやオイデを教えなければ」「早くお利口に育てなければ」と考える方も多いかもしれません。

もちろん、人と暮らすために必要なことを教えるのは大切です。

しかし、パピー期に育てたいのは、目に見える行動だけではありません。

  • 安心して眠れる
  • 自分から周囲を探索できる
  • 困ったときにご家族を頼れる
  • 少し驚いても、落ち着きを取り戻せる

こうした心の土台が、その後の学びや暮らしを支えていきます。

「できること」が多いほど、心が育っているとは限りません

オスワリ、オイデ、オテ・オカワリ、トイレ

子犬ができることが増えると、成長が分かりやすく、ご家族もうれしいものです。

しかし、指示された行動ができることと、子犬が安心して暮らせていることは同じではありません。

たくさんのことができても、常に人の動きを気にしていたり、失敗することを怖がっていたりする場合があります。

反対に、まだオスワリが上手にできなくても、

  • 安心して身体を休められる
  • 自分から遊び始められる
  • 初めての物を自分のペースで確認できる
  • 不安になったらご家族のもとへ戻れる

という姿が見られるなら、心は着実に育っています。

パピー期は、目に見える「できた」の数だけでなく、愛犬の表情や身体の力、行動の変化にも目を向けてみましょう。

まず育てたいのは、安心して休める力

子犬にとって、新しい家庭は知らない物や音、匂いに囲まれた環境です。

ご家族にとっては静かな部屋でも、子犬は多くの刺激を受け取っています。

そのため、迎えた直後から多くの場所へ連れて行ったり、たくさん遊ばせたりするよりも、まずは安心して休める環境を整えることが大切です。

  • 誰にも邪魔されずに眠れる場所
  • 疲れたときに自分から戻れる場所
  • 家の中の刺激から少し離れられる場所
  • 無理に触られたり、呼び出されたりしない時間

安心できる居場所は、子犬を家族から隔離するための場所ではありません。

自分の力で落ち着きを取り戻すための、大切な逃げ場所です。

安心できるから、好奇心を発揮できます

子犬は本来、さまざまな物に興味を持ち、匂いを嗅いだり、口で確かめたりしながら周囲を学んでいきます。

しかし、強い不安を感じているときには、自由に探索する余裕がありません。

ご家族や居場所に安心感を持てるようになると、子犬はそこを足がかりにして、少しずつ外の世界へ興味を広げていきます。

初めて見る箱へ近づき、少し不安になったらご家族のもとへ戻る。安心できたら、もう一度確かめに行く。

この繰り返しが、好奇心や「自分で確かめてみよう」という気持ちにつながります。

大切なのは、無理に近づけることではありません。

愛犬が自分で、

  • 近づく
  • 立ち止まる
  • 離れる
  • もう一度確認する

ことを選べるようにしましょう。

失敗させないことより、立ち直れる経験を

愛犬を大切に思うほど、怖い思いや失敗をさせたくないと感じるものです。

しかし、日常からすべての不安やストレスをなくすことはできません。

大切なのは、何も起きないように守り続けることではなく、愛犬が対応できる小さな経験を重ねることです。

たとえば、初めて聞く音に驚いても、

  • 安全な距離を取れた
  • ご家族のそばへ戻れた
  • 匂いを嗅いで確認できた
  • 少し休んだら再び動き出せた

という経験ができれば、「驚いたけれど大丈夫だった」という学びにつながります。

これが、ここでいう「立ち直る力」です。

怖がっている愛犬を無理に刺激へ近づけたり、その場に留めたりする必要はありません。

不安が強すぎる場合は距離を取り、安心できる状態へ戻れるように助けましょう。

ご家族は「正解を指示する人」だけではありません

子犬との暮らしでは、危険な行動を止めたり、望ましい行動を教えたりする場面もあります。

しかし、ご家族の役割は、いつも愛犬へ正解を指示することだけではありません。

愛犬の様子を観察し、

  • 困っているときには助ける
  • 自分で考えているときには待つ
  • 離れたいという気持ちを尊重する
  • 自分から挑戦できたことを支える

という関わりも大切です。

子犬が安心して頼れるご家族の存在は、新しいことへ挑戦するための土台になります。

「何をさせるか」だけではなく、「愛犬がどのような気持ちで取り組んでいるか」を見てあげましょう。

心が育っているサインを見つけよう

パピー期の成長は、トレーニングの成果だけでは測れません。

次のような姿も、心が育っている大切なサインです。

  • 身体の力を抜いて眠れる
  • ご家族から少し離れて遊べる
  • 初めての物を自分から確認できる
  • 嫌なときに距離を取れる
  • 困ったときにご家族を頼れる
  • 驚いた後に匂い嗅ぎや遊びへ戻れる
  • 自分から「やってみよう」と行動できる

ほかの子と比べる必要はありません。

得意なことや慣れるまでの時間は、一頭ずつ異なります。

その子なりの小さな変化を、ご家族と一緒に喜んでいきましょう。

パピー期に育てたいのは、一生を支える心の土台

オスワリやオイデは、成長してからでも教えられます。

しかし、安心して休み、自分から探索し、困ったときには誰かを頼りながら落ち着きを取り戻す経験は、パピー期から大切にしたいものです。

「何ができるようになったか」だけではなく、

愛犬は安心して過ごせているだろうか。
自分から世界を知ろうとしているだろうか。

という視点で、日々の成長を見守ってみてください。

愛犬の心を育てることは、その子らしく健やかに暮らしていくための土台になります。


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