子犬を迎えると、「オスワリやオイデを教えなければ」「早くお利口に育てなければ」と考える方も多いかもしれません。
もちろん、人と暮らすために必要なことを教えるのは大切です。
しかし、パピー期に育てたいのは、目に見える行動だけではありません。
こうした心の土台が、その後の学びや暮らしを支えていきます。
オスワリ、オイデ、オテ・オカワリ、トイレ
子犬ができることが増えると、成長が分かりやすく、ご家族もうれしいものです。
しかし、指示された行動ができることと、子犬が安心して暮らせていることは同じではありません。
たくさんのことができても、常に人の動きを気にしていたり、失敗することを怖がっていたりする場合があります。
反対に、まだオスワリが上手にできなくても、
という姿が見られるなら、心は着実に育っています。
パピー期は、目に見える「できた」の数だけでなく、愛犬の表情や身体の力、行動の変化にも目を向けてみましょう。
子犬にとって、新しい家庭は知らない物や音、匂いに囲まれた環境です。
ご家族にとっては静かな部屋でも、子犬は多くの刺激を受け取っています。
そのため、迎えた直後から多くの場所へ連れて行ったり、たくさん遊ばせたりするよりも、まずは安心して休める環境を整えることが大切です。
安心できる居場所は、子犬を家族から隔離するための場所ではありません。
自分の力で落ち着きを取り戻すための、大切な逃げ場所です。

子犬は本来、さまざまな物に興味を持ち、匂いを嗅いだり、口で確かめたりしながら周囲を学んでいきます。
しかし、強い不安を感じているときには、自由に探索する余裕がありません。
ご家族や居場所に安心感を持てるようになると、子犬はそこを足がかりにして、少しずつ外の世界へ興味を広げていきます。
初めて見る箱へ近づき、少し不安になったらご家族のもとへ戻る。安心できたら、もう一度確かめに行く。
この繰り返しが、好奇心や「自分で確かめてみよう」という気持ちにつながります。
大切なのは、無理に近づけることではありません。
愛犬が自分で、
ことを選べるようにしましょう。
愛犬を大切に思うほど、怖い思いや失敗をさせたくないと感じるものです。
しかし、日常からすべての不安やストレスをなくすことはできません。
大切なのは、何も起きないように守り続けることではなく、愛犬が対応できる小さな経験を重ねることです。
たとえば、初めて聞く音に驚いても、
という経験ができれば、「驚いたけれど大丈夫だった」という学びにつながります。
これが、ここでいう「立ち直る力」です。
怖がっている愛犬を無理に刺激へ近づけたり、その場に留めたりする必要はありません。
不安が強すぎる場合は距離を取り、安心できる状態へ戻れるように助けましょう。

子犬との暮らしでは、危険な行動を止めたり、望ましい行動を教えたりする場面もあります。
しかし、ご家族の役割は、いつも愛犬へ正解を指示することだけではありません。
愛犬の様子を観察し、
という関わりも大切です。
子犬が安心して頼れるご家族の存在は、新しいことへ挑戦するための土台になります。
「何をさせるか」だけではなく、「愛犬がどのような気持ちで取り組んでいるか」を見てあげましょう。
パピー期の成長は、トレーニングの成果だけでは測れません。
次のような姿も、心が育っている大切なサインです。
ほかの子と比べる必要はありません。
得意なことや慣れるまでの時間は、一頭ずつ異なります。
その子なりの小さな変化を、ご家族と一緒に喜んでいきましょう。
オスワリやオイデは、成長してからでも教えられます。
しかし、安心して休み、自分から探索し、困ったときには誰かを頼りながら落ち着きを取り戻す経験は、パピー期から大切にしたいものです。
「何ができるようになったか」だけではなく、
愛犬は安心して過ごせているだろうか。
自分から世界を知ろうとしているだろうか。
という視点で、日々の成長を見守ってみてください。
愛犬の心を育てることは、その子らしく健やかに暮らしていくための土台になります。
子犬の心の育ちは、迎える前からすでに始まっています。
迎え先の選び方から、社会化の引き継ぎ、ご家庭での心の育て方まで、3つの記事でご紹介しています。
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