子犬の社会化というと、「たくさんの人や犬に会わせること」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、社会化は単に出会いの数を増やすことではありません。
子犬が人間社会のさまざまな刺激を安全に確認し、自分なりに対応できる力を育てることです。
そして、その経験は、ご家庭へ迎える前からすでに始まっています。
社会化で大切なのは、誰とでも仲良くできる犬にすることではありません。
人、犬、生活音、乗り物、床の感触、身体に触れられることなど、これからの暮らしで出会うものを少しずつ知っていくことです。
そのなかで子犬は、
を学んでいきます。
すべてを好きになる必要はありません。
必要以上に怖がらず、自分に合った方法で対応できるようになることが、社会化の大切な目的です。
子犬が最初に社会的な経験を積むのは、母犬や兄弟犬、育ててくれる人との暮らしです。
母犬や兄弟犬との関わりを通して、遊び方や力加減、相手との距離の取り方などを学びます。
さらに、育った環境のなかで、
などにも少しずつ触れていきます。
この時期に、子犬の様子を見ながら穏やかな経験を重ねてくれることも、迎え先を選ぶ大切なポイントです。

日本では、ブリーダーやペットショップなどが、出生後56日を経過していない犬や猫を販売・展示することは禁止されています。環境省「STOP!生後56日までの犬猫販売」
しかし、8週齢になれば社会化が完了するわけではありません。
8週齢は、それまでに始まっていた社会化を、迎え先からご家族へ引き継ぐ節目と考えてみてください。
子犬を迎えるときには、次のようなことを聞いておきましょう。
経験したことだけでなく、そのとき子犬がどのように感じていたかまで聞けると、家庭での社会化を引き継ぎやすくなります。
「今のうちに慣らさなければ」と焦り、子犬を怖がっているものへ近づけることがあります。
しかし、逃げられない状態で我慢させると、かえって苦手意識を強めてしまうことがあります。
たとえば、子犬が知らない犬を怖がっているときに、無理に挨拶させる必要はありません。
少し離れた場所から眺めるだけでも立派な経験です。
食べられない、動けない、逃げようとするほど緊張している場合は、距離を取ったり、その場を離れたりしましょう。
社会化では「経験させたか」だけではなく、次のような様子を確認します。
子犬が自分のペースで確認できる距離と時間を用意することが大切です。
子犬は、安心できるご家族の存在を確かめながら、新しい環境を探索していきます。
知らない物へ近づき、少し不安になったらご家族のもとへ戻る。そして、安心できたら再び探索する。
この繰り返しが、子犬の好奇心や自信につながります。
ご家族が先回りして何でも触らせたり、無理に近づけたりする必要はありません。
子犬が自分から確認するのを待ち、困ったときには助けられる距離にいることが大切です。

社会化は、たくさんの経験を詰め込むことではありません。
愛犬が人間社会のなかで安心して暮らし、新しい状況に出会ったとき、自分なりに考えて対応できる力を育てることです。
迎える前に始まった社会化を、ご家族が丁寧に引き継いでいきましょう。
焦らず、その子の気持ちとペースを大切にすることが、心の健やかな成長につながります。
パピー期には、オスワリやオイデなどの目に見える行動だけでなく、心の成長にも目を向けたいところです。
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