「散歩に出たのに、家の前から一歩も動かない」
「途中で立ち止まって、座り込んでしまう」
「リードを引いても踏ん張って、すぐ帰りたがる」
DogRelaxingの現場でも、「散歩で歩いてくれない」という相談はよく聞きます。なかでも多いのが、車や音、人を怖がって立ち止まるケースと、家の前から動かないケースです。
先に結論をお伝えします。犬が散歩で歩かないのには、その子なりの理由があります。そして、リードを引っ張って歩かせるほど、散歩は苦手なものになっていきます。
この記事では、犬が散歩で歩かない原因と、DogRelaxingで実際に行っている対処法を順番にお伝えします。
歩かない理由は、大きく6つに分けられます。ひとつだけのこともあれば、いくつかが重なっていることもあります。
DogRelaxingの現場で特に多いのが、このケースです。車やバイクの音、工事の音、すれ違う人や自転車。犬にとって外は、予測できない刺激であふれています。
怖がっているときは、次のようなサインが出ます。
このサインが出ているときの「歩かない」は、「これ以上進むのは怖い」という犬からのメッセージです。

散歩デビューしたばかりの子犬や、迎えたばかりの保護犬、引っ越した直後の犬に多い理由です。地面の感触、におい、風。すべてが初めてなので、情報を受け取るだけで精一杯になります。
着けた途端に固まる、体をかく、歩き方がぎこちない。そんなときは道具が合っていない可能性があります。サイズがきつい、脇がこすれる、リードの金具が重い、といったことが原因になります。
関節や腰の痛み、肉球の傷、伸びすぎた爪。体のどこかに違和感があると、犬は歩くのをやめます。昨日まで歩いていた子が急に歩かなくなったときは、まずこの理由を疑ってください。
夏の熱いアスファルト、冬の冷たい地面、雨で濡れた道。足の裏から伝わる不快さで、歩きたがらない子もいます。暑い時期の散歩については「犬の熱中症対策|犬の「もう暑い」に気づこう」もあわせてご覧ください。
体はリラックスしているのに動かない場合は、「あっちへ行きたい」「まだ帰りたくない」という意思表示のことがあります。
現場でよく相談を受ける「家の前から動かない」は、理由がひとつに決まりません。家から離れるのが不安な子もいれば、行きたい方向が決まっている子もいます。体のサインで見分けます。
| 見るところ | 不安で動けない | 行きたい方向がある |
|---|---|---|
| 耳と尻尾 | 耳が後ろ、尻尾が下がる | 耳も尻尾も普段どおり |
| 体の向き | 家や玄関のほうを向く | 行きたい方向を向く |
| おやつ | 食べない、すぐ吐き出す | 普段どおり食べる |
| 抱っこで移動した後 | 降ろしても固まる | 降ろすと歩き出す |
昨日まで普通に歩いていた子が急に歩かなくなったら、練習より先に体を確認します。次のうちひとつでも当てはまるときは、動物病院で診てもらってください。
痛みが原因のときは、どれだけ練習しても歩けるようにはなりません。無理に歩かせると悪化することもあります。
年齢とともに、歩く距離や速さが変わるのも自然なことです。5歳を過ぎた子は「5歳を過ぎたら知っておきたい愛犬の体の変化」も参考にしてください。
歩かないとき、ついリードを引いてしまいがちです。ですが、引っ張って歩かせると、次の3つが起こります。
「歩かない」は困った行動ではなく、犬からのサインです。止まったら、まず飼い主さんも止まる。リードをゆるめて、その子が何を見ているのかを一緒に見る。そこから始めてください。
考え方の土台は「「叱る」より「育てる」犬育ての考え方」で詳しくお伝えしています。
散歩デビューの日に歩かないのは、ごく自然なことです。最初の目標は「歩くこと」ではなく、「外は怖くないと知ること」に置きます。
外の世界に慣れる準備は、散歩デビューより前から始められます。詳しくは「子犬の社会化は、迎える前から始まっている」をご覧ください。
体に問題がないとわかったら、次の3つを試してみてください。どれも、DogRelaxingで歩かない子の相談を受けたときに実際に行っていることです。
車や音、人が怖い子には、まず抱っこで外に出ます。飼い主さんの腕の中という安心できる場所から、外の様子を眺めてもらうためです。

「降ろしたら歩かせなければ」と考えなくて大丈夫です。数歩歩けたら、その日はそれで終わりにします。
DogRelaxingでは、まず教室の中で歩く練習をします。外の刺激がない場所で、ハーネスとリードを着けて飼い主さんと一緒に歩く。この経験を先に積んでおくと、外に出たときの負担がひとつ減ります。

おうちでも同じことができます。
ひとつの段階で落ち着いていられるようになってから、次へ進みます。
道具を替えただけで歩き出す子もいます。次の点を確認してください。
新しい道具は、まず室内で着けて慣らしてから外で使います。
家の前で動かない子は、抱っこやカートで少し離れた静かな場所まで移動し、そこから歩き始めてみてください。公園や緑道など、車の通らない場所が向いています。歩けた経験が増えてきたら、歩き始める場所を少しずつ家に近づけます。
はい、抱っこして大丈夫です。怖がっているときに抱っこで安心させることは、甘やかしではありません。「抱っこ癖がつく」心配より、怖い経験を重ねないことを優先してください。
おやつは使ってかまいません。ただし、怖がっている場所へ引き寄せるために使うのは避けます。落ち着いて周りを見ていられたときや、自分から一歩踏み出したときに渡してください。おやつを食べられないほど緊張しているなら、その場所はまだ早いというサインです。
帰って大丈夫です。短い時間でも「嫌な思いをせずに終わった」という経験を重ねるほうが、長く歩かせるより近道になります。
年齢に関係なく、少しずつ慣れていくことはできます。ただし成犬は、苦手になってからの時間が長いぶん、ゆっくり進める必要があります。シニア犬は先に体のチェックをしてください。「成犬になってからのしつけ直しは可能?」も参考になります。
歩く距離より、「今日も外は怖くなかった」という経験をひとつずつ増やしていきましょう。
散歩で歩かない理由は、その子の性格やこれまでの経験によって違います。記事を読んでも原因がはっきりしないときは、一人で抱え込まずにご相談ください。
犬育ての考え方をもっと知りたい方は、『犬育ての教科書』もどうぞ。
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